『「教育の場」としての学習塾』

「教育の場」としての学習塾

「教育の場」としての学習塾


前職である学習塾の動向については、ちょっとチェックをしておきたいな、と思って。それと、学校で仕事をするようになって、学習塾との違いっていうのがいろいろと見えてきてので、それについて考えをまとめてみたくなった。

文部科学省が何言ってやがんでぃ」って感じのところが多いですね…。

以下、メモ。

p.10

言うまでもなく塾の管轄は経済産業省である。文部科学省ではない。つまり国は、塾を、教育サービス産業であり教育機関とはみなしていない。


p.18 中萬学院・中萬隆信さん

これだけはゆとり教育の核心だといえることがあります。それは、過去の教育改革はすべて「マキシマムスタンダード」、つまり目標を上に設定してその目標の到達のために努力する発想でやってきたのが、今回初めて「ミニマムスタンダード」、すなわち目標を下に設定して最低これだけはできるようにしましょうという発想に立ったということです。戦後7回の教育改革の中でも、こんなことは今回(2002年)が初めてです。


p.56 志門塾・成瀬正さん

国際化コースには、現在、中学生コースと高校生コースの2コースがあります。中学生コースは、「英語を話せるようになりたい。でも、学校の勉強も頑張りたい」という中学生のためのコース。授業は「英語・数学」の日と「英語・国際化総合演習」の日に分かれます。(略)国際化総合演習では映画を通して英会話に役立つ表現を学んだり、世界の国・出来事を学んで、地球上にはいくつもの価値観があることを勉強します。


p.73 双葉塾・元木基二さん

指導法については、いつも講師たちにお願いしていることがあります。それは「あまりしゃべりすぎるな」ということ。立て板に水のごとくどんどん授業を進めていく―これでは予備校ですよ。演習を通して自分で力をつけていくのが塾。問題の解法をくどくどと説明したり、子どもたちの先回りしてあれこれ教えるのはよくない。今日の講義は素晴らしかったなと自画自賛したくなる日があるんですが、そういうときは決まってしゃべりすぎているからダメ。説明不足だったかなと不安になるくらいでちょうどいいんです。その分、子どもたちは自分の頭で考える。これが塾の指導法だと思います。


p.80
吉備システム
・全国641塾(平成14年6月末現在)に導入
・つまずき発見テスト


p.116 田中学習会
田中学習会の「観点別評価表」
・学習状況評価
テストの結果
宿題のやり方
ノートのとり方など、学習の過程を含めて状況を見る
・生活状況評価
授業の受け方
挨拶や言葉づかい
忘れ物などの学習・生活慣習面での状況


p.125 英進館・筒井勝美さん

日本の大学に数学科がいくつあるかご存知ですか?600大学中わずか60校です。これに対してアメリカは、2000大学中1500大学に数学科が設置されています。恐ろしいほどの格差でしょう。アメリカでは心理学や経済学をマスターする人も、例外なく統計数学といったかなり高度な数学を積極的に学んでいるといいます。統計数学に強いアメリカの金融関係者に、数学が不得手な日本の金融関係者が全く歯が立たなかったという話もあります。


p.204
10時間×4日間。やればできる子どもたち

感想文を書かせると、ほとんどの子は『こんなに勉強したの初めて』と書きます。テレビなし、お菓子なしの10時間ですから、家で勉強するのと全然違う。4日間頑張りぬくことで、僕もやったらできるんだという自信をつけるのが第一の目的です。集中力さえ養うことができれば、学力は自ずとついてくる