藤原和博『世界でいちばん受けたい授業2』

世界でいちばん受けたい授業〈2〉

世界でいちばん受けたい授業〈2〉


シリーズ2作目。1作目に比べると衝撃が少ないかな…。表紙の生徒たちの顔がいいよ。あんな顔をさせたい、と思うよ。

以下、メモ。

p.253
■[よのなか]科のカリキュラムの流れ

1)ゲストによってテーマについての知識をインプット
2)テーマの本質がよく表れるケースを取り上げてそれについての自分の考えを書いてみる
3)グループディスカッション、クラスメートとの意見交換によって、他者の考え方を知った上で、その刺激を吸収しながら自分の意見としてまとめる。
4)クラス全体でのプレゼンやディベートの中で、自分の意見を述べてみる。この過程で、はじめに考えた“感情的な感想”が、必ずしも最終的な自分の意見とは限らないことに気づく。そして、自分の考えが、徐々に論理的に深まってゆく。


p.266
■人を殺してはいけない理由
・「自分が殺されるぞ」
・「自分の好きな人が殺されるぞ」
・「殺していい悪いは理由の問題じゃない。
  昔から万古不易、人類の変わらないルールだ」


p.267

“人を殺してはいけない”というルールを持っている社会は、歴史上、世界のどこにも、実は一つもないんです。
(略)
でも、かわりに2つのルールがあるんですよ。
それは、「仲間を殺すな」というルールと、もう一つは「仲間のために人を殺せ」というルールです。ですから、国によっては、兵役を拒否したり、戦争で人を殺したくなくて敵前逃亡すれば、処罰されて、場合によっては殺されます。


次に出てくるのは、「仲間って誰のことなんだ」というもの


p.307
■アメリカ、ティーンコート(teen court)
→プロの法律家が手助けして、子どもたちが裁判そのものを進行する訓練


p.308
■[よのなか]科の7つの特徴
1)シミュレーション(理科的疑似体験)で鳥瞰的な視点を感得する。
2)ロールプレイング(社会的疑似体験)で主体的な視点を感得するとともに、他人の立場になってみる他者体験を通じて他者を理解する。
3)まず個人で(一人で)考えてみる。次にグループで知恵を出し合う。ディスカッションやコミュニケーションを通して自分お考えが変わることを体感する。
4)自分たちの考えをプレゼンテーションすることを重視する。わかりやすく話さなければ日本人同士でも通じない。プレゼンしてみて初めて自分の考えや価値観が定まってくる。
5)ディベートを繰り返して、相手を説得してみる。あるいは説得されてみる。このときロジックが通っていれば議論に勝てるし、ロジックが通っていなければ議論に負けることを体験させる。感情的な“言い争い”では相手を説得できないことを知る。
6)生徒たちに刺激を与える存在としてのゲストの登場。様々な大人モデル、仕事モデルをできるだけたくさん見せるために。ゲストにはけっして成功談や説教調の自慢話を“講演”してもらうのではなく、生徒たちの議論に混じって一緒に学んでもらう。
7)「正解のない授業」「失敗を許す授業」間違ってもいいのだということを繰り返し伝えて、[よのなか]と自分との関係は試行錯誤の中で決まっていることを実感させる。