眞木準・編『ひとつ上のプレゼン。』

ひとつ上のプレゼン。

ひとつ上のプレゼン。


広告業界のそうそうたるメンバーが「プレゼン」について語っています。表現、クリエイティブな方にちょっと寄ったプレゼン論かもしれません。でも、いろいろなヒントがあっていいかも。

でも、すでに基礎を習得している人が読んだ方がいいような気がします。誰でもがこれでうまくいくとは思えない。

キャラクターが大事、思いを持ってプレゼン、などは、必要最低限のスキルを持っていてこそのものだと思うからです。あ、だから「ひとつ上の」プレゼンなのか。その当たりを心して読まないとだめかな、みたいな。

でも、ヒントになる言葉は多い。以下、メモ。

p.14
プレゼンテーションの本質は「知のプレゼント」

プレゼンの3種の神器
1)企画書
・広告業界では「ペラ1枚型」が多い
PowerPointは不人気

2)コンテンツ
・プレゼンで最も重要な部分
・サンプルやパンフレットなど

3)話法
・プレゼンは、アナログなコミュニケーション
・落ち着いて話をする
・相手はキーマン中心に話す
・相手に好意を持つ
 「人間は自分に好意を持ってくれている相手に好感を持つ」
・話には一貫性を
・キーワードを3度繰り返して接触効果(Frequency)を増す(クラグマン)


p.31 大島さん
いいプレゼンをするために必要なこと
・みんなが「乗る」環境や状況を作る
→この仕事が成功すれば幸せになれる
→この仕事が成功すれば○○賞がとれる
・「もっといい結果が生まれるに違いない」という幻想を抱いてもらう
→「最高のプレゼン」はありえない


p.41 岡さん

ぼくは野末敏明さん(電通総研副会長、電通顧問)に最も影響を受けていると思いますが、野末さんもまさに自然体。「面白い企画はつまらなく説明できない」とぼくに教えてくれた人です。「プレゼンが迫ってきたらやることはひとつしかない。直前までもっといい企画はないのか考えることだ」とも教わりました。


p.49 中島さん
プレゼンがつまらなくなっている最大の原因は、「資料が主役になっている」こと。


当然、プレゼンの場でも、その資料の説明に終われることになります。つまり、「人間による話」から「資料」へと重点がシフトしてしまう。いいかえれば、どんな人がプレゼンをしているのかという「キャラクターで勝負する部分が少なくなってきているということです。それがプレゼンが面白くなくなってきた最大の原因だとぼくは考えています。


p.63 中島さん

もちろんキャラクターを磨くことができるのは、仕事のプレゼンの場だけではありません。ある意味では、日常生活のいたるところに「プレゼン的行為」はありますから、それを通じても磨くことができるはずです。
例えば、気難しい親爺がやっている寿司屋に入って、顔を覚えてもらって馴染みになるというのも一種のプレゼンです。また合コンでモテようとするのもプレゼンです。ナンパもプレゼンといっていいでしょう。そういう機会に他人と接してもまれていくうちに、キャラクターの見きわめや出し方が身につくはずです。


p.64 團さん

提案をしたときのクライアントの反応にも注意が必要です。黙ってうなづいているからといって、受け入れてくれているとはかぎりません。
提案をして、どうですか、と受け手に尋ねてみたときに、言葉が返ってこなかったり、ただ黙っていたりすることがありますが、そういう場合は納得しているのではなくて、コミットしていないことが多いと思ったほうがいい。


p.102 杉山さん

ある意味、国と国のプレゼンテーションでも最終的には個人技なんですよね。
特別なエリートとして育てられ、世界のどこの舞台に立っても物怖じしない人。こういうときには、そういう人が必要なんですね。
でも、いまの日本には例えば白洲次郎のような人はいない。極端な平均社会になっていて、なかなかそういう人材が輩出されなくなってしまっているのは、グローバルといわれるこの時代、意外に問題かもしれませんね。
それとは少し違うけど、個人技ということでは川淵さんにはびっくりさせられました。一緒にリハーサルをやったんだけど、すべて英語のプレゼンテーションを完璧に暗記していらした。結構な量ですよ。日常的に英語を使われているわけではないのに、です。
やっぱりスポーツ選手の集中力のすごさというか、すごい方だと本当に感動しました。


p.142 小沢さん

ここで大切な要素は、わからないプレゼンはだめだということです。「聞いてわかる」が第一。結論だったり、やりたいものがひと言でまとめられないものは失格ですね。
いいアイデアというのはたいていの場合、ひと言で言える。だからこそ、人に伝えることができるんです。説明してやっとわかるというのは本当にだめ。もちろん相手の理解力にもよりますが、プレゼンの相手も立場は違ってもプロフェッショナルですから、同じ土俵で話をする以上はひと言でわからないものはだめだと考えて間違いないでしょうね。


p.144 小沢さん

あらかじめ考えておくといいのは、3つの言葉ですね。ひとつは最初に何をいおうかということ。もうひとつは最後に何をいおうかということ。最後は途中で何をいおうかということです。
先の2つは、いわゆる「話しはじめの部分」と「締めの部分」で、最後の「途中の言葉」といのは、話が長くなったり、ギクシャクしたときに、問題を切り替えるために話題にすべきテーマや話法です。


p.153 柴田さん
プレゼンに勝つための4つの方法論
1)言葉の共有
・スローガン
・クライアントに刺さり、世の中に刺さる言葉を決める
2)社長の気持ちで考える
・社長は、どんな思い入れを抱いているのかを調査する
3)会社の売り込み
・会社全体として、どんなことがクライアントのためにできるか
4)自分を売り込む
・「誰と仕事をするか」を重視する
→そこに見合う自分になる


p.223 児島さん
「はじめに」では仮説を立てる


実はこの表現はわりと便利です。仮説はあくまでも仮説ですから、なかなかケチをつけにくいんですよ。
例えば、「最近の女の子は買い物で生きている」といい切ってしまえば、受け手からは「本当にそうだろうか」と反論されることもあります。押し付けとか啓蒙だと感じると、いい印象を持ちにくいものですよね。
でも「女の子は買い物で生きているという仮説を立てます」とすれば、そんなものかもしれないなと意外にすんなりと受け入れてもらえます。