藤原正彦/小川洋子『世にも美しい数学入門』
- 作者: 藤原正彦,小川洋子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/04/06
- メディア: 新書
- 購入: 4人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (257件) を見る
小川洋子『博士の愛した数式』つながりで読んでみた。数学を「美しい!」と感じられるような感受性は正直持ち合わせていないのですが、それでもけっこう楽しめた。数学の天才が生まれる条件とか、とにかく数字を弄び続けて、ひらめいたらそこまでの道をつけていく(=証明していく)だけなんです、というところとかはなるほどな感じ。
こんなふうに数とつきあえていたら楽しかっただろうなあ。
以下、メモ。
p.38
天才数学者の生まれる条件
1)神に対してでも自然に対してでもいいけど、何かにひざまずく心を持っていること
・天才をよく生むイギリス人は、神は信じないが伝統にひざまずいている
・日本人は神仏や自然にひざまずく
2)美の存在
・子どものころから美しいものを見ていないと天才は生まれない
3)精神性を尊ぶ
・お金を尊ぶといった物欲ではなく、もっと役に立たないもの、精神性の高いものを尊ぶ
↓
こうした3つの条件を満たしたところ以外からは天才は出ない。
南インドや日本は天才数学者たちが生まれているところ(らしい)
p.71
「
弄ぶというのは、独創に非常に良い影響をあたえます。たとえば美しい文章を読んで理解していても、その人の宝石にならない。暗唱したり、思い出して口ずさんだり、言葉を弄ぶというのが重要だと思いますね。だから、図形で発見したければ図形を弄ぶことです。ああでもないこうでもないと、いろいろ図形を描いて考えながら遊ぶことですね。
」
p.99
「
しかも天才はこういう実験を全然いやがらない。これが4とか5ならすぐできるけれども、0.58695の2乗だって平気でやる。(略)天才は計算をいやがらないんです。こういう計算をして考えるんです。何か規則性があるかと。
人間というのは、何もないところから新しいものを造ることはできないんです。砂漠にいきなり家を建てることなんてできない。真の独創というのはあり得ないんです。必ず他のものと比べてみるということしかできない。古今東西の先人のいろんな例を比べてみるんです。
」