五味太郎『絵本を作る』
- 作者: 五味太郎
- 出版社/メーカー: ブロンズ新社
- 発売日: 2005/03
- メディア: 単行本
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五味太郎さんが好きです。絵本もさることながら、ご本人のインタビューや対談などを見て好きになりました。こんな大人はかっこいい!と本気で思っています。
これを機会に絵本も読み返してみようっと。
以下、メモ。
p.8
「
楽しくやっているとだいたいうまくゆく。いい絵本が出来上がるよ。うん、楽しくやっているとだいたいうまくゆく、ってのが基本だな。楽しくやるってことは楽にやるということさ。生まれつき得意なことをやるのが楽にやるということさ。生まれつき得意なことをやるのが楽なので、それが楽しいということね。「楽」と「楽しい」をいっしょの字で表した最初のやつは偉いね。わかってるね。
」
p.16
「
そう、頭がいたずらするわけよ。イメージなんていうと少し硬くなるけれど、つまり余計なことを考える頭のいたずらのことだよ。
」
p.17
「
そして、なにしろこの情報社会ってやつでしょ。自分で考えたことなのか、他人が考えてそれをどこかで聞いたことなのかもよくわからないし、テレビで見たのか実際に見たのかもはっきりしないのが普通の暮しの状態なんだから、これがイメージだ、みたいに力を入れる必要もないのさ。イメージなのかな?具体的なのかな?あたりでやってればいいのね。やってるしかないのね。
」
p.18
「
(パクリって、)
ちょっと悪そうな言葉だけど(何語だろ?)、なーに、よくやる手さ。ぼくだけじゃないよ。世界的国際的一般的創作の基本的初歩的常識的なやり方のひとつさ。「模倣」と言えばカッコつく。「模写」と書けば謙虚な漢字ね。つまり、真似っこするのさ。いいなあと思ったやつを。「いいなあ」と思った自分は、とりあえずその感受性においてその作品なりをクリアしたという理解のもとに、その「いいなあ」のいいなあ部分を、自分のものにする、利用する、使う、という構造ね。
」
p.43
「
ようするに、いろいろやってみて、自分の生理的意思、つまり絵描きたいなーって気持ちに沿って、なんだかんだトライしてみて、ま、82%くらいしっくりしたものに出会えたら、それがいちばんいいよね。あとの18%は、慣れと気合いあたりでなんとかなるものさ。かんたんでしょ。
」
p.90
「
(体操競技のように)その「規定」をきっちりと理解し解釈し、そして実行する。そして自分の得意技を中心にして「自由」の演技を計算し計画し組み立て、そして実行する。この感覚さ。古典の解釈、そしてぼくヴァージョンの創作、両方合わせて総合得点。ジャンルはまったく違うのに、その呼吸はまったく同じ。面白いよね。
」
p.148
「
うん、そう、あえてクライアントという言葉の落とし所を探すなら、自分がクライアントなのね。発注主は自分なのさ、この仕事は。で、このクライアントはけっこう無謀だから、「このあたりを主軸に、あのあたりのニュアンスを加味した、そのあたりの本を…」などと勝手に発注するわけよ。で、引き受け側は「なんとかしてみましょ」みたいな態度で臨むわけさ。で、途中で「あのあたりのニュアンスが少し出ないんですけど…」なんて電話したりするのよ。するとクライアントが「ま、あのあたりはそう重要じゃないから適当でいいんじゃないの」なんて言うわけさ。簡単なのさ。当人同士だからね。
」