「とんでわらってとまどって」〜富士見丘小学校の演劇体験〜

「とんでわらってとまどって」〜富士見丘小学校の演劇体験〜(2004/10/30 NHK教育で放送)より。

富士見丘小学校演劇体験教室の前半のまとめ。

いろいろな人が出ていましたが、いちばん感銘を受けたのは鴻上さん。イギリスに演劇教育を学びに留学していただけのことはある。カリキュラムというものをしっかり考えていらっしゃっててびっくり。僕はと言えば、はずかしながら、演劇教育という言葉は初めて聞きました。でもそうだよな、あるだろうな、そういうのも。と思ってググるとけっこう出てくるな。


演劇を学習のツールに使う、というのはとてもいいと思うので、この授業に関してもフォローして以降と思っています。何よりいいのは、今年は日本劇作家協会の協力があって成り立っているこの授業を、来年以降、先生たちでできるだろうか?という視点を先生たちが持っていること。すばらしい。属人的なカリキュラムでは、どうしても特殊ケースになってしまいますもんね。

以下は、メモです。ちょっと実践的(かも)。いずれ、自分の作ったカリキュラムに要素が登場することでしょう(笑)。

6年生全員が演劇の授業を受ける(全50時間・全体の1/2)

観察力、想像力、声と身体、言葉の4つの力を中心に学ぶ

1)観察力(吉田日出子・女優)
・日常の観察
・演じることで人の気持ちをわかるようになる
・自分のした喧嘩、目にした喧嘩を言葉だけで書く
・生徒が書いてきた台本を演じてみる
→最初に演じた組みあわせのまま、逆の役を演じてみる


2)想像力(渡辺えり子・劇作家/女優)
・馬鹿みたいな顔、小さい顔、などを顔でやってみる
・「人間以外のものになってもらいたいと思います」
・春っていうとどんなイメージ?→「風」「桜」
「鳥」グループ、「花」グループなど、グループにわかれて考える
・別々に演じた4グループを最後に一斉に演じて春の風景を作る
蝶には花が見える、鳥が見える、土が見える


「遊ばせたいのに、ああしろこうしろと言わなきゃいけない自分がいやだ」(渡辺えりこさん)


3)言葉(谷川俊太郎
・みんなで詩を作る
・自分の気持ちを出発点にするのではなく、言葉を出発点に詩を作る

□積み上げうた
・クラス全体で言葉を積み上げていく
・みんなで「これは○○」という言葉を挙げていく
→詩になる楽しいつながりを考える
→黒板に全部書いてみて、つまらなさそうなのを消す
→多数決で最初の一行を決める

アクロスティック
・自分の名前で「折句」
・詩のイメージを変える(授業でやると堅苦しい)


4)声と身体(鴻上尚史
・イギリスで演劇教育について学んできた(theater education)
・子どもたちは学校語を持っている。
 =思っていなくても感想をきちんと(適当に)言っちゃったりする
・コミュニケーションの喜び、楽しさを日本人は持っていない

□鬼ごっこ
・「遊びの基本、鬼ごっこから行くぞ」
・鬼になったやつは、「あーーー!」と叫びながら追いかける

□身体で遊ぶ
・二人一組、一人は彫刻家、一人は素材
→身体を好きに動かしていい
・その後で、彫刻にタイトルを付ける(制限時間2分)
・「喜び」というタイトルの銅像を作る
→「似たような形がすごく多くないか?」
・次は「悲しみ」
→「すぐ出てきてしまうような形はなし!」
・「それぞれの喜びの形があっていいのに、
  同じような表現になるのはもったいないと思うんだ、俺は」

□声で遊ぶ
・うきうきした気持ちで「もうすぐ夏休みだ」
・憂鬱に「もうすぐ夏休みだ」

・高さを変えると、言葉の響きが変わる
→高さ、大きさ、音色、速さ、間によって変える
・話しの内容で引きこまれるんじゃなくて、
 5つの要素が豊かだからおもしろいということもある

□(授業ではできなかった)最終形
・二人で5つの要素を使って作ったメロディを作る
 ↓
・体育館全体に生徒を散らせる
 ↓
・目隠しをさせる
 ↓
・声だけを頼りにして、パートナーと出会え!
 ↓
・出会えたペアから抜けていく
 最後に残りたくないので、シャイな子達も必死で表現をする