川上和久『イラク戦争と情報操作』

宝島社新書「イラク戦争と情報操作」

宝島社新書「イラク戦争と情報操作」


戦争とメディア報道について考えるきっかけになるようなコースを、現在開発中。その関連で下準備のために読んでました。思えば、卒業論文のときにもこういうの取り上げてるんですよねー。ちょっと懐かしかったかも。

以下、メモ。

p.12
権力がメディアを一元的に管理

情報のうそ臭さが目に付き、うわさなどのネットワークコミュニケーションが働き、情報のウソ臭さを埋めようとする動機づけが生まれる


しかし、民主主義社会で、言論の自由、報道の自由が保障されているかに見える社会においては、「ウソ臭さ」と「真実性」の間の溝を埋めるためには、相当の想像力を必要とするし、メディアに依存することで、その溝は埋まったと思い込んでしまうことも多い。


p.23
ホワイトプロパガンダ
事実を誇張して伝えたもの

ブラックプロパガンダ
ありもしない事実をでっち上げる

「メディアは政治的武器でもある」


p.50
プロパガンダ7つの方策
(ミラー教授・コロンビア大学

1)ネーム・コーリング
攻撃したい対象に対して、悪いイメージのレッテルを貼る操作。情報の受け手に、悪いイメージのステレオタイプを想起させる。悪魔、殺戮者、神の敵などなどが利用されている。

2)華麗な言葉による普遍化
多くの人たちが普遍的価値を求めているシンボルと、対象を結びつける手法。「自由」「正義」「民主主義」「愛」「平和」「富」など。

3)転移
多くの人たちが受け入れやすい、権威ある存在を味方につけることによって、自らの考えを正当化しようとする試み。キリスト教の信者にとっても教会の権威。歴史的な権威などなど。

4)証言利用
信憑性があると認められる人物が語った、という形で人物の証言を利用し、自分の説得性を高める方法。

5)平凡化
コミュニケーションの送り手が、受け手と同じような立場にあることを強調し、その人物への親近感を得る方法。庶民的イメージを訴えかける。

6)カードスタッキング
都合のいい事柄を強調し、都合が悪い事柄を隠蔽する手法。メディアを利用した「宣伝」と、事実を隠蔽するための「検閲」などがある。

7)バンドワゴン
大きな楽隊が目を惹くように、その事柄が、世の中の趨勢であるかのように宣伝する方法。それに従わないことにより取り残される情緒的不安を覚え、結局はその「楽隊」にしたがっていくことになる。


p.220
川上和久『情報操作のトリック』も読んでみようかな。