宮本哲也『強育論』

強育論-The art of teaching  without  teaching-

強育論-The art of teaching without teaching-


オフィスで何気なくK下さんから「ほい」と渡された本。しかし、刺激的でおもしろい。徹底的に自分で考えることを求めている。そこから自立心が育つ、ということですね。おもしろい。

ゆとり教育についても、以下のようにバサリ

「言葉を知らなくても、漢字が書けなくても、分数の計算ができなくても大丈夫!子どもは外に出て自然に触れ、伸び伸びと毎日を過ごしましょう。努力なんて大人になったら嫌でもやらされるのだから、子どものうちは好きなだけ遊びましょう。勉強で頑張るのは大人になってからでも十分間に合うので大丈夫!」とても正気とは思えません。先に楽をしてあとで頑張るなんてできるはずがありませんし、子どものうちに努力する尊さを覚えなければろくな大人になりません。
以下、メモ。

p.28
ゆとり教育(2002年から新学習指導要領施行)
=「なまけの教育」「堕落の教育」

ゆとり教育≒ゆとり返済(住宅ローンシステム)

「家がほしい!」という思いが切実ならがんばって頭金を貯めるべき。35年ローンを組んで、最初のうちにできるだけ繰り上げ返済し、元本を減らし、20年くらいで完済してしまうのが正しい家の買い方でしょう。
5年も住めばそれが当たり前になり、新居に暮らす喜びもありがたみも薄れてしまいます。そんなときに月々のローンだけがドーンと増えてもがんばりはきかないでしょう。

↓ゆとり教育も似たようなもの

「言葉を知らなくても、漢字が書けなくても、分数の計算ができなくても大丈夫!子どもは外に出て自然に触れ、伸び伸びと毎日を過ごしましょう。努力なんて大人になったら嫌でもやらされるのだから、子どものうちは好きなだけ遊びましょう。勉強で頑張るのは大人になってからでも十分間に合うので大丈夫!」
とても正気とは思えません。先に楽をしてあとで頑張るなんてできるはずがありませんし、子どものうちに努力する尊さを覚えなければろくな大人になりません。


p.40

はじめに私が生徒たちに望むことは、依頼心をなくすことです。ひとつの問題に集中力を高めた状態で粘り強く取り組むことです。この姿勢さえ身につけば、あとは適切な題材を与えるだけで生徒は勝手に伸びます。つまり、依存度が低下し、自立度が高まるのです。


私の教室では、入試を意識させるのは、小6の10月からです。それまでは、字がどんなに汚くても、解き方が雑でミスが多くても何も言いません。ただ、興味を持って問題に取り組めればそれでいいのです。でも、自立に関しては小3の初日から求めます。
「今からものすごく難しい問題を10分でやってもらう。この問題が解けたヤツは今までにひとりしかいない。でも、解けるか解けないかはどうでもいい。10分間、頭を使い続けることができるかどうかだけを見る。途中であきらめるヤツは来週から来なくていい」
この初日の1問目を途中で投げ出した子は今までに一人もいませんし、この緊張感を4年間持続させれば、スタート時のレベルに関係なく、伸びるのです。

p.46
子どものケアレスミスをなくす方法
・頭ごなしに叱る
・いかにもったいないことをしているかを根気よく説明する
・反省文を書かせる

これらは全部ハズレ

ポイント制を利用(悪用?)
・1問解けると1ポイントを加算
・テストで10点取れると1ポイントを加算
・250ポイント獲得すると級が1つ上がる

6年生の後半に引き剥がしにかかる
・テストで計算問題を1問間違うと100ポイント減点

※毎回の授業で大きなプレッシャーをすべての生徒にかける
 入試で潰れるヤツは今日ここで潰してやる

p.74
■授業中に頭を使わない子に家庭で何をやらせても無駄である

教室と家庭の環境を比べてみればわかります。
教室と家庭のうち、緊張感が高いのはどっちでしょう?もちろん、教室です。
教室と家庭のうち、集中力が高まるのはどっちでしょう?もちろん、教室です。
教室で頭を使わない子が家で頭を使うはずがありません。学力差は授業中に生まれます。やらなくてもできる子などいるはずがありません。

p.76
■子どもに自信をつけさせる唯一の正しい手順
1.問題に興味を持つ
2.ひたすら考える(決して教えてはいけません)
3.解けても解けなくても学力はつく
4.自信がつく


p.126
・楽は損!
・学力は、問題が解けるから伸びるのではなく、解説が理解できるから伸びるのでもなく、頭を使い続けるから伸びる。
・何かひとつのことを成し遂げるのにもっとも必要な資質は堪え性。親が特別なことをしなければたいていうまくいきます。
・充足感は問題が解ける解けないにかかわらず、頭を使いきったときに得られます。


p.162

私が考える先生の役割とは「子どもの自立を見守り、促進する」ことだけです。
(略)
自分はまともだと錯覚して歩いている子に足をひっかけて転ばせる。起き上がろうとすると踏んづける。再び起き上がろうとするとさらに踏んづける。
この間、私はずっと子どもの様子を観察しています。私は踏んづける力を決して緩めませんが、どこかで子どもの力のほうが勝ってバーンと立ち上がる。私はそれを見て「ほう、成長したな」と感心する。


p.164
■無手勝流(The art of teaching without teaching!)

子どもをほめて伸ばすか?叱って伸ばすか?
どっちも相手の顔色をうかがうようになるだけなのでダメです。
放ったらかして伸ばす、これが正解です。