フラン・リース『ファシリテーター型リーダーの時代』

ファシリテーター型リーダーの時代

ファシリテーター型リーダーの時代

  • 作者: フランリース,Fran Rees,黒田由貴子,P.Y.インターナショナル
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 単行本
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藤沢の実家に帰ってから、去年すでに読み終わっていたフラン・リース『ファシリテーター型リーダーの時代』の読書メモをまとめる。こういうスキル、自分に今すごい欠けているものだと思うので、勉強しないとね。

以下、メモ。

p.2
ファシリテーターという役割
・プロジェクトチームの運営や組織の活性化に一役買う
・新しいリーダーシップ
・ただの会議の進行役ではない

・中立的な立場で
・チームのプロセスを管理し
・チームワークを引き出し
・そのチームの成果が最大となるように支援する

p.3
変革の時代のリーダーに必要なこと
・組織や肩書きを超えて多様な人材と協力し、彼らの力を最大限に引き出す
・自立したプロフェッショナルが知恵や力を合わせて
 シナジーを上げていけるようにする

p.3
ファシリテーターの資質
1)問題点を整理し、問題の本質がどこにあるかを嗅ぎ分ける「ビジネスIQ」
2)人の感情に働きかける「EQ(エモーショナル・インテリジェンス)

・チームメンバーに議論を引き起こす(コミュニケーション)
・結論と気持ちを一つにまとめる(コンセンサス形成)
・実行に対する意欲(コミットメント)醸成

p.23
ファシリテーションがもたらす重要な効果:
・グループのメンバーに対して、決定事項に協力する動機づけを行える
・グループが最善を尽くすことにより、個々による作業より良い結果が得られる
・全面的な参加とメンバーの巻き込みに成功すれば、生産性が高まる
・マネジャーやリーダーがリソースとしてのメンバーを有効に活用できる
・メンバー全員が、他のメンバーに影響を与え、
 役に立つチャンスを得られるチーム活動の一端を担っていると実感できる
・メンバーが決定事項にコミットするため、組織が柔軟になり、
 より早く結果が現れるようになる
・作業現場レベルで意思決定が行われていく
・メンバーは、決定事項の実行責任がメンバー全員にあることを認識する
・変革、問題解決、実行のスキルが育成される
・メンバーが組織全体の利益を考え、そのために行動する気を起こす
・質の高い意思決定が行われる
・建設的に衝突を解決し、誤解を解くための場が提供される
・士気や参加意識の低下、情報の囲い込みのほか、
 「それは自分の仕事ではありません」とか
 「いったい何をしたらいいのですか」という言葉に
 代表される消極的な態度が見られなくなる

p.27
ファシリテーションの状況・役割・成果がまとまった表あり
・1対1
・グループ討論
・会議のファシリテーション
・チームまたは継続的なグループ
・組織全体にまたがるファシリテーション

p.35
ファシリテーターがやるべきこと

・内容に対しては中立の立場をつらぬく
・参加意欲を引き出す
・発言者が偏らないように配慮する
・メンバー同士の話し合いを促す
・グループ作業に適した体制とプロセスを提案する
・人の話を積極的に聴き、他のメンバーにもそうするように求める
・意見の相違を歓迎する
・メンバーの発言を記録し、整理し、要約する
・意思決定やコンセンサスに向かう道筋を順を追ってつける
・グループが進歩と成長を自己評価するように仕向ける
・メンバー間の意見の相違を方向転換し、活用して、共通の利益にする
・メンバー個人とメンバーの発言が攻撃されたり無視されたりすることのないように保護する
・グループは、知識、経験、創造力の宝庫であることを強調し、グループのリソースを引き出すことにファシリテーション・スキルを活用する

p.46

ファシリテーターは、一対一の議論やグループ討議の進行役をするときは、必要に応じて尋ね方を変えながら質問する

□オープンエンド型の質問:
・Yes/Noで終わらない質問
・最終的な確認にはよい
・時間の効率化にはつながるかもしれない

□クローズエンド型の質問:
・重要な情報を見落とさないために、潜在的な問題も含められる


p.89

ファシリテーターは、時には、熱意やグループ作業が順調に進むことへの期待、自信、信頼といった気持ちを伝える必要もある。ファシリテーターに自信や熱意が感じられなければ、グループの指揮は低下するし、作業も遅れるだろう。

p.94

ファシリテーターとして忘れてはいけないのは、内容を選択しながら聴くのではなく、選択しながら記録することである。ファシリテーターの目的は、すべてを聴いて、要点を拾い上げることである。だが、とりとめがなく、焦点が定まらない話し方をする人の発言を記録するのは容易ではない。こういう発言者には、
「ジョージ、あなたはいろいろと話してくれましたが、今の発言を記録したいので、一つか二つの要点にまとめてくれませんか」
と頼むのがいちばんだ。
こうすれば、ジョージは自分のコメントを整理し、要約するチャンスをもらえたことになる。ジョージがすぐに要約できない場合は、頃合いを見計らい、数分後にもう一度、要約を依頼すればいいだろう。
もう一つの方法は、ファシリテーターが自分で要約し、それを発言者に確認する。
「ベス、あなたはいくつかの指摘をしましたね。今、それを…のように書き留めるとしたら、あなたの発言のポイントを正確にまとめたことになりますか」

p.106
フリップチャート活用法(ボニー・E・バーン『フリップチャートのパワー』)
・参加者を歓迎する
→歓迎のメッセージ、好印象
・会議の目的と進行予定を表示する
→アジェンダを最初に明確に。
→迷ったときにはここに戻ってくるようにする
・作業に関する指示を与える
→たくさんの作業がある場合、列記して分担
→全体の進行が見えるようになる
・注意をひきつける
→オープンエンド型の質問を書いておく
→質問を思い出させるときに利用する
・啓蒙する、情報を提供する
→紹介したいコンセプトやプロセス、ポイントを書いておく
・目標に焦点を合わせる
→グループの定めた目標とスケジュールを書いておく
→ミッションや目標に立ち返るタイミングで出す
→意見衝突の際にも出せる
・グループ・プロセスのツールとして使う
→項目の優先順位付けに利用する
・将来の検討事項をリストアップ
→未来のToDoリストを作成しておく

p.128
グループ力学に影響を与える要素
□物理的なレベル
・会議は快適な状態で行われているか?
□思考のレベル
・メンバーがそれぞれの意見を伝え合うレベル
・率直な意見交換を奨励
・意見やアイデア、懸念を言いやすい安心できる環境を
□感情のレベル
・感じていることを自由に素直に口にできるか配慮数r
・心を開かせるような質問を投げかけたり、共感を示す
□直感的なレベル
・メンバー間で起こっていることを感じ取るレベル
・メンバーが言うべきことを言っていないと感じたらそれを引き出す
□エネルギー(活力)のレベル
・どれくらいしっかりグループ活動に意識を向けているかに注意
・内職などをさせないエネルギーを
□儀式的・精神的なレベル
・グループの活動を、内外に対し認知させる
・一体感が育つような働きかけをする
□シナジー(相乗効果)のレベル
・全員が団結しなければ不可能な成果を達成するレベル
□社交的レベル
・メンバーがどれくらい打ち解け合っているかを見るレベル
・一緒にランチに行く?
・パーティーに言ったりする?
□学習レベル
・グループとして個人として、何を学んでいるかに着目するレベル

p.136
コンセンサスの問題点

1)
コンセンサスにいたるには時間がかかること。特に、複雑な決定やプロジェクトの場合がそうである。
2)
コンセンサスにいたる過程では、合理的、系統的な手法を適切に用いるが、対立とその解消も避けて通れない。

p.148-149
ファシリテーターがデータの創出と整理に使えるツール
□ブレインストーミング
□ストラクチャード・ラウンド
□Tチャート
親和図
□特性要因図(フィッシュボーン図)
□時系列表
□フローチャート
□マトリックス図

p.183
意見・情報に優先順位をつけ、評価するためのツール
※これ、おもしろいなあ。教材に使えそうな気がする。

□多重投票法
□ランク付けと優先順位の決定
□ノミナル・グループ・テクニック
□フォース・フィールド分析(力の場分析)
四象限図
□意思決定マトリックス

p.217
ファシリテーション設計のための10のステップ
1)会議の目的を定める
2)会議の参加者を決める
3)状況を分析する
4)結果重視型の目標を定める
5)会議の日程を決める
6)会場を決める
7)事前準備が必要か判断する
8)使用するプロセスを決める
9)会議の開始・終了時に行う活動を決める
10)会議の準備に必要な作業を依頼する

p.251
会議中に個人で作業したり考える時間を設けることで、グループ作業を活性化する
・ブレインストーミングを始める前に、一人で静かに考えさせる、アイデアはメモさせる
・会議と会議の間にやっておく課題を与える
・会議やグループ差魚の評価をする時間を与える。質問リストやアンケートをファシリテーターは準備しておく
・資料を精読する時間を設ける。読後、オープンエンド型の質問をして感想を聞く。

p.252
緊張をほぐす方法を学べる本がいくつもある
フォーブス・グリーン『The Encyclopedia of Icebreakers』(1983)
ビアンチ、バトラー、リッチー『Warmups for Meeting Leaders』(1990)

p.259
効率よく会議を進めるポイント

・どうしても必要なときだけ会議を開く
・妥当な成果を出すことに集中する
・時間を節約するため、必要であれば、あらかじめ参加者に宿題をあたえておく
・全員が参加し、集中し、グループのシナジーと創造性を最大限に引き出す会議を設計することに時間をかける
・出席すべきメンバーが必ず出席するよう働きかける
・予定した時間に開始し、終了する
・グループの焦点を成果にしぼらせる
・開放的で信頼感にあふれる雰囲気をつくるため、気分転換やちょっとした懇親のための時間を設ける
・作業方法、視覚的な資料、デモンストレーション、色使い、講演者の選定には、楽しさや変化をつける
・参加者の都合や予定に配慮し、会議時間は長くしすぎない
・会議が長時間におよぶ場合は、参加者がその重要性を理解しているかを確認し、出席する価値のある会議となるように配慮する
・目標達成までのプロセスで障害にぶつかったり、行き詰ったりしたときは、いったん会議を終了させるかどうか、グループに判断させる